イラン情勢のニュースに株価は変動しながらも、日経平均株価やS&P500は史上最高値更新と、なぜか上昇が続いています。
ニュースと相場が噛み合っていないように見えるこの状況に、違和感を覚えた人もいるかもしれません。
私は、その理由を「お金そのものの価値が下がっているから」と考えています。
・現在の株価はお金の量で単純に動きやすくなっている

この画像は、米国のマネーストック(M1,M2)を示しています。
M2は、経済の全体的な流動性を包括的に反映する指標とされています。
M2を見ると、ゆるやかに増加を続け、2020年の新型コロナウイルスの流行を境に増加速度の上昇がみられます。それに呼応するように、赤線のS&P500が上昇していることが示されています。
株式市場の評価には、企業の業績や将来性などが反映されて動く側面があることはもちろんなのですが、それだけで動くものでもありません。市場に出回るお金の総量も関係しています。
中央銀行の金融緩和や低金利環境によって市場に資金が供給されると、その行き先として株式市場が選ばれやすくなり、結果として、株価が押し上げられます。代表的な指標であるS&P500はその恩恵を受けやすいと考えられます。
・通貨の増加=価値の下落で、何が起きるのか
市場に出回るお金の総量が増えると、一般的に通貨の価値は下落すると考えられます。
ということは、その通貨をただそのままでもっておくこと自体が、通貨価値の目減りを許容していることにつながるわけです。
皆さんが汗水たらして稼いだ10000円が、1年で5%の価値を失い、そのペースで10年続いたとすると、1万円は10年で6000円の価値になるわけです。それを喜ぶ人はいないでしょう。
そこで、人々は、過去の歴史でインフレ調整後でも価値を保っていた歴史のある株式や、通貨を株式や金などのコモディティに避難させるという動きを見せることは自然なことと言えます。
・現在の株高の考察
市場の資金総量の増加が続いている社会においては、株価の上昇は「実質的な成長」の部分だけでなく、「名目上の価格上昇」分が含まれていることを考慮すべきであると考えます。
そして、その「名目上の価格上昇」分の割合が、年々大きくなっているようにも感じます。
そういった部分が、株が上がっているからといって、必ずしも社会全体が豊かになっているとは言えない、豊かになっていると感じにくいということにつながっているのではないでしょうか。
また、世界で最も流通しているドルを有するアメリカ合衆国が、世界の物流の不安定化をきたしているという事実から、ドルを何らかの形で退避させようとする動きも現在の株高に含まれているようにも感じます。
・まとめ
イラン情勢のような不安定なニュースがあるにもかかわらず、株価が上昇を続けている背景には、「市場に出回るお金の量の増加」という側面があると考えられます。
株価は企業の成長だけで決まるものではなく、金融政策や流動性の影響を大きく受けます。そのため、現在の株高には「実質的な成長」だけでなく、「通貨価値の低下による名目上の上昇」も含まれている可能性があります。
この視点に立つと、「株価が上がっている=経済が良くなっている」と単純に捉えることは難しくなります。
むしろ重要なのは、
お金の価値そのものが変化している中で、自分の資産をどう守るかという視点です。
現代の経済構造、資本主義社会においては、お金の供給を減らすことは、世界中のすべての国において非常に難しいと言わざるをえません。
資金を退避させることはもちろんすべきだろうと思いますが、どのように分散させるか、については定まった正解はないように思います。
皆さんは、現在の株高をどう考えますか?

